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2021年10月10日 (日)

526 定禅寺通2021社会実験を考える

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8月上旬から、9月上旬にかけて。

定禅寺通で、周辺エリアの活性化に向けた、社会実験が行われました。

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注目すべきは、「車線規制」です。

もちろん、定禅寺通のイベントのとき、車線の数を減らすことは、珍しいことではありません。

ジャズフェス、青葉祭り、ページェントのサンタパレード、などなど。(コロナ禍の前は。)

しかし、

街づくりを意図して、その効果を測定するというのは、初めてではないでしょうか。

では、実験を振り返ってみましょう。

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■定禅寺通活性化検討会/大規模社会実験「JOZENJI STREET STREAM」

・2021年8月20日(金)~9月7日(火)

※車線規制/8月18日(水)深夜~9月10日(金)早朝に、定禅寺通の東二番丁通~西公園通の区間

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■コロナ禍の状況

・第5波の渦中で、8月20日から宮城県では2回目のまん延防止等重点措置が適用。

・8月27日から、宮城県は緊急事態宣言の対象地域に。

・仙台市では、8月30日から主な市民利用施設の利用を休止に。

・るーぷる仙台も、8月30日から休止。

・飲食イベントにおける酒類の提供は、実験当初から中止。

・緊急事態宣言の発出後は、物品販売や飲食ブースも全て中止。

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■感想

○車への影響は正直、わからなかったのでは。

そもそもコロナ禍で外出や移動が少なく、交通量自体が通常より少なかった感がありました。

だから、車線規制が交通流にどのように影響したかについては、う~ん、どうだったのかなあ、という感じでしょうか。

日中は渋滞がひどくなったという話は、特に聞こえてきませんでした。

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○路線バスは

車線規制により、特に運行に支障をきたした、ということもなかったのではないでしょうか。

前述のとおり、交通量自体がコロナ禍で少なかったので、そのあたりをどう考えていいのか、ですよね。

これまで定禅寺通のイベントでは、路線バスは迂回をするなど、どうも邪魔者扱いのようなイメージが、ありました。

しかし、

本来であれば、イベントのときこそ「路線バスで来てください」というのが、あるべきが姿なのでは、、、。

そういう意味で、車線規制をしても、路線バスの利便性を確保できるようにしていく契機になればよかったと思うのですが。

そのあたり、どういう評価になるか、とても関心があります。

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○自転車は

今回の実験で、自転車の利用者から挙げられた苦情?を多く目にしました。

それは、歩道を自転車の走行は不可としたため、でしょう。

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警備員さんが、随所で

「自転車は降りて押してください」「車道を走行してください」とお願いしていました。

車道には、左端に、青い矢羽や直線で、自転車の通行箇所が表示されていました。

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筆者はというと、

自転車の車道通行については、(慣れているせいか?)特に危険や不自由を感じませんでした。

というより、むしろ、通常の車道よりも、走りやすくなっている部分もありました。

というのは、青い矢羽で示された自転車通行箇所が、最も左側の車線の左端にではなく、車線規制された1車線を利用して設定されていたのです。

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このため、同じ車線内でクルマと自転車が接近することなく、自転車はクルマが走らない車線の一部を走行することができました。

まあ、お約束のように路上駐車があり、後方からくるクルマを気にしながら右側をパスすることは、必要だったのですが。

しかしながら、自転車に関しては、課題と思われることが、たくさん出てきたように思います →後述します。

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○歩行者は

これも、歩行者の数じたいがコロナ禍で少なかった、というのがありました。

しかし、緊急事態宣言が出ていなかった前半は、それなりに露店などもあり、ゆったりした歩行空間を、木漏れ日の中歩く楽しさを感じることもできましたね。

歩行者の立場からすると、これが、あるべき姿だといいなあと思いました。

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逆に、

ふだん、前から後ろから自転車が好き勝手なスピードで行き交う歩道って、異常事態といってもいいんじゃないか、とも感じましたね。

せめて、「自転車通行可の標識がある歩道であっても歩行者が優先で、自転車には歩道の車道側を徐行する(歩行者の妨げになるときは停車する)義務」を、

自転車のみなさんが守ってくれればいいのですが、

現実は誰もそんなこと守ってないし、

そもそも、それが道路交通法という法律に基づいているルール(「マナー」のレベルではなく)だということを知らないし、

警察も行政も、歩道での自転車の交通違反を積極的に取り締まろうとはしてないように見えるし、、、。

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そうした歩行者の安心・安全を守ろうとする意識や体制の貧弱さが見えてしまったといいますか、

そこは残念に、思われました。

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○まちの活性化って?

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これも、コロナ禍で、予定されたイベントの大半が実施できなかった模様なので、効果はなんとも言えないかと。

しかし、この社会実験で、何を試して、それを将来のどのような姿に活かしていくのか。

めざす将来像といいますか。

そのあたりが、ちょっとみえなかったかなあ、という印象です。

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たとえば、

車線規制に赤白のカラーコーンやガードレールを設置しているわけですが、

何か明るい未来への期待感を抱かせるビジュアルではなかったですね。

ただ、カラーコーンで車線を使えないようにしているだけの空間の目立ちました。

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そうですねえ、

なんでしたら、そこを駐輪場に活用したり、

車道を走行する自転車だけが利用できるドリンクサービスのスポットにしたり。

あるいは、

将来ここをこのように活用することを考えてますがどうでしょうか、みたいなイメージ図を掲示したりとか。

歩行者はもとより、規制される側のクルマのドライバーにも見える形で、

示すことができたら良かったのになあ、と思いました。

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さらに、全体として、何がどう活性化されて、誰にどのようなメリットがあるのか。

そこを強く訴えていかないと、賛同したくてもできない人もいるのではないか、と感じました。

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■課題と感じたこと

○その1/自転車むけ信号の運用

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車道を通行する自転車は、車道用の信号機に従うのが普通と思います。

定禅寺通には、スクランブルといいますか、歩車分離式の信号の交差点があります。

でもこれ、「車道用の信号も同じ方向の歩行者用の信号も青」の場合は特に迷わないのですが、

スクランブルの場合は、「車道が赤」で、同じ方向の「歩行者が青」のときが、あるんですよね。

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ここでどっちの信号に従うのが正解なのか、

自転車だけでなく、歩行者、そしてクルマのドライバーも正しく理解していないと、

交錯して事故になるおそれがあると感じました。

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○その2/自転車が双方向に走行できない不便の解消

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歩道で、自転車の通行が認められている場合、仙台の中心部はほぼそうなのですが、

法律上は徐行が義務付けられている(ですよね?)ものの、両方向に、通行できます。

たとえば、メディアテークの前の歩道を、西にも、東にも、自転車で通行できるわけです。

しかし、通行(乗って走行)できるのが車道のみ、となると、

今回の運用では、西に行くには西行きの車線を、東に行くには東行きの車線を、それぞれ通行せねばなりません。

これ、欧米などでは、どうしているのでしょう。

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あたりまえといえばあたりまえなのですが、これまで出来たことができなくなるのは、やはり不便と感じる人は多いはずです。

自転車の通行(乗って走行)を車道に限定するならば、両側に西行きも東行きもできるスペースを確保するとか、そういう措置が必要と感じました。

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○その3/自転車の通行ルールの「そもそも」が守られていない?件

自転車にとって不便、と感じた方は、ふだん、歩道をどのように自転車で走行されているのでしょう。

ちゃんとルールを守られているのでしょうか、その疑問が拭えないです、、、。

たとえ、

自転車通行可の青い標識があっても、

歩道に「自転車通行指定部分」のレーン表示がされていても、

歩道では、自転車は徐行の義務があると、道路交通法で定めていますよね。

歩道に描かれた自転車通行指定部分のルールをおさらいすると、

  • 自転車は、自転車通行指定部分を、徐行しなければなりません。
  • また、歩行者の通行を妨げることとなるときは、一時停止しなければなりません。
  • ただし、自転車通行指定部分を通行し、または通行しようとする歩行者がないときは、安全な速度と方法で進行することができます。

(道路交通法を参考に筆者作成。あってますよね?)

となるかと思います。

それが守られていれば、

今回、車道部分に、しかもクルマの走行が規制された車線に自転車の通行位置が示されて、

そこを通行してくださいという運用は、「通行しやすくなった」と感じるのではないか、と思うのですが。

どうでしょう、、、。

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○その4/車道で自転車・クルマが共存できるには

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まず、歩道は、歩行者の安心・安全が確保されてほしいです。

誰もが快適に、例えばベビーカーの方やお年寄りも含め、楽しく歩ける空間であってほしいです。

そのためには、

歩道を自転車が好きなスピードで走ってる違法状態が現状だと思うので、それは改められてほしいと思います。

しかし、自転車が車道を安心・安全に走行できるかというと、そうとは言えないのも、また現状かと思います。

したがいまして、

自転車が安全・安心に車道を走行できる、車道上の専用レーンの設置が必要と思います。

次に、

クルマのドライバーの意識ですよね。

自転車は、車道を走行するのがアタリマエ、という考えが浸透しないと。

でも、これを実現するのは、たいへんなことだと思います。

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けれども、

今回の実験をとおして、これに取り組み、改善しなければ、

定禅寺通の車線規制、そして活性化の将来は描けないのではないか、そんな気さえしてきた次第です。

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○とはいえ総合的には

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今回の社会実験は、なにもコロナ禍の今年に実施しなくても、、、という感が否めないことは確かでしょう。

車線規制による交通流の影響や、活性化への寄与を、正しく測定できたのか、

という疑問に、説得力を持って「こうでした」と説明するのは、なかなか難しいんじゃないかと思いました。

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しかしながら、

今後のまちづくりの取組を進めるために、この実験を実施したことは、大きな前進だとも言えると思います。

これまでクルマを優先(優遇?)してきた道路空間の利用を、

歩行者、そして街の活性化のために見直すことによって、皆がより快適に感じる空間にするにはどうすればいいか、

それを考える契機になりますし、様々な可能性を感じさせる意義があったんだとも思います。

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今後に期待したいと思いますね。

 

 

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